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酒飲んで電話して大騒ぎ (QuickJapan連載記念対談)

 Spoken By ABC/箭本進一
Edited By ABC/qj和弘


まずは無難なツカミとか?

阿部  最近やったゲームでオモロかったのは、ナムコアンソロジー1かな。やっぱりスターラスターは最高ですよ。シンプルで深いというね、ゲームを作ってる奴の夢ちゃいますかね。こういうゲーム造るのって。
    ゲーム批評的にいうと、広告があるからナムコを褒めなきゃいけない事情はありません(笑)
阿部 ぎゃはは! そのスターラスターを進化させたようなのがね、コロニーウォーズなんですわ。コロニーウォーズメチャメチャすごいですよ。いや、オモロイとはいいません。ホンマ、面白いとは絶対いえないけど、とにかくすごいんですわ。
箭本 それじゃ、分かりませんって(笑)
阿部 技術的にメチャすごいんですよ。音楽に例えたら、イングウェイ・マルムスティーンみたいなもんで、音楽として面白いかどうかなんてレベルで考えるのは野暮って世界があるやん? そんな感じ。
 

ウテナで脳内革命?

箭本 僕は最近だと、サターンの少女革命ウテナは良かったですけどね。
阿部 ウテナ買ったの? それキツイわ。買ったこと自体キツイみたいな。
箭本 ウテナはキャラゲーとしては最高ですよ。キャラゲーのウリとしてよくあるのは原作を知らない人でも楽しめるとか言っといて、やはり原作を知らないと楽しめない、というパターンなんですが、ウテナは見事な位に原作を知らない人間を置き去りにしてる。これはいい意味での置き去りで、原作を知らないと楽しめないかわりに、原作さえ知っていれば悶絶もののネタが頻出する(笑)
阿部 ふむふむ。
箭本 ラスボスの暁生さんのマイカーが暁生カーっていうんですけど、これは原作の最後の方までいかないと出てこないんですよ。それがオープニングから出てくる。しかも、合体・暁生カーロボっていうのがバーンと出てくるんですよ。
阿部 それは原作には出てくるの?
箭本 出てこないんです。
阿部 出てこないロボットがなぜに!?
箭本 そこがパロディなんですよ。システム的には恋愛シミュレーションなんですけど、分岐が尋常じゃなくて、原作を見てないと分からない隠しルートがあるんですよ。それを進むと、暁生カーに乗って世界の果てを見せられたり、告白昇降台に乗って悪の一員にもなれる。それでゲームオーバー。
箭本 そこがパロディなんですよ(笑)。システム的にはコマンド選択式のアドベンチャーなんですけど、流行の恋愛要素がちゃんと入ってる。主人公は女なんだけど、ウテナ様(女・男装や樹璃様(女・レズともラブラブになれる。んで、原作を知ってるなら悶絶ものの…ってなんか同じこと言ってるなあ。まあ、そんな感じのルートがある、と。
阿部 なんかなあ(笑)
箭本 いや、ファンは嬉しいんです。原作を見てたら、絶対俺も暁生カーに乗りたいとか俺も告白昇降台に乗りたいって思うんですよ。もう、すごいファン心をくすぐるという。もともとウテナそのものが視聴者を選ぶアニメでしたやん? ゲームの方も、そのプレイヤーを選ぶという姿勢が極めて原作に忠実であったという。
阿部 それがキャラゲーとしては素晴らしいと。
箭本 原作を知ってるファンなら、絶対楽しめます。
 

世界一豪華な同人ソフト?

阿部 じゃあ、ウテナがファンにオススメというのがあるとすると、対局にあたるゲームがあって。ファンは買っちゃいけないキャラゲーというのがあるじゃないですか。エヴァンゲリオンの鋼鉄のガールフレンドとか。あれはもう、普通のファンがやったら怒るでしょう。
箭本 キャラクターの性格が原作と全然違うんですよね。アスカがやたらに優しいという。
阿部 鋼鉄のガールフレンドってメチャクチャ同人ソフトっぽいんですよ。シナリオ書いた人が、完全に同人のノリでやってるじゃないですか? 例えば、本物のスタッフが作った同人ソフトみたいなんですわ。同人誌を編集して作ったエヴァのコミックアンソロジーみたいな話を、本物の綾波の絵と本物の綾波の声でやってるんですよ。そういう意味では夢のようなソフト。しかも発売はガイナックスという念の入れよう。
箭本 だからウテナと逆なんですよね。ヘビーユーザーからの突っ込みが入りまくるという。
阿部 ごっつ対照的やねえ。キャラゲーとしてオモロかったのがウテナ。別の意味で面白かったのがエヴァ。
箭本 結局、楽しむ為に造ってるか楽しませる為に作っているかの差が歴然と出ちゃってる感じがありますよね。
 

ゲームってカッコ良いんか?

 林   そういえば、今日buzz立ち読みしてたら、飯野賢治さんが当分、ゲームはカッコ良い文化になりそうもないみたいなこといってましたね。
阿部 それに関してハッキリいえるのはね、ゲームなんて、カッコ良くなくたってええわいっていう。なんでならなアカンねんみたいな。
箭本 それはありますね。
阿部 最近ゲームはカッコ良くなくちゃ困るって奴が多いでしょ。なぜならば、それを語る俺様がカッコ良いからっちゅうメチャメチャな理屈で。例えば、飯田和敏さんが俺はクラブで踊りながら、ゲームを作るみたいなことを吹くわけですわ。それでね、そうやって作った太陽のしっぽは最高にイケてるんだといえば、真に受けるボクちゃんがいるわけですよ。陳腐な言葉を使うと、無自覚にメディアに躍らされてるってゆーか。
箭本  ハハハハハ(笑)
阿部 超クソゲーの中で、太陽のしっぽは雑で単調でパープー。それを仕様というのは逃げとちゃうんか?とか書くと、怒るわけですよ。事実なのに(笑)。その本人は否定するかも知れんけど、太陽のしっぽをイケてると思う俺はイケてるみたいな理屈ですよ。それは、全然違うでしょ?
箭本  違いますね。
 

結論みたいなアレ!

阿部 ゲームの価値は、買って楽しいかどうかで決まるんですよ。超クソゲーでも書いた、ゲームの代金の中には、けなし代も含まれるというのは、出来が悪かったり腐ってたりするゲームをも楽しむための方便なんですよ。クソゲーハンターは新聞読みみたいなもんで、それを逆手にとって、新しい価値として提示してるんやから。そこで俺様のイケてる太陽のしっぽを!とかいわれてもなあ(笑)。
箭本  全然違うだろうと。
阿部 そこはね、QJでやる自分を自戒する意味でも、ハッキリさせときますわ。でも、デスクリムゾンにしてもそうなんやけど、俺らが喜ぶゲームって、QJ読者的に面白いんかな? 俺がいってるのはしょっぱくて美味しいみたいなゲームで、箭本くんがいうてるのは辛くて美味しいみたいなゲームやん(笑)。まぁ、この意見はエネミーゼロをウニと表現してお子様には分からない良さと言わんとしたレッカ社の中田さんの言ってるのとほとんど同じで嫌なんだけどね(笑)
箭本 まあ、分かんない人はファミ通で8点のゲームを買うのが無難ですよと。
阿部 ファミ通で8点のゲームを買って腹立ったら、中古屋に売りましょう(笑)
    ハハハハハ、メチャクチャいってる。
阿部 でもね、中古売却の刑はアリだと思いますよ。ムカついたから売るっていう。中古売却の刑よりヒドイというと、粉砕する様をビデオに撮って送りつけるぐらいしかないでしょう。


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