こんばんわ。ヤマグチです。先日書いたコラムは概ね好評だったようで嬉しいです。うるせえテメエはロリ妄想だけしてりゃあいいんだこのカスチンカスキチガイキチガイ!などと怒鳴られると思ったのですが。死ねボケェと殺す宣言メールが一通来ただけでした。ラブ。
そんで今日は先日書いたコラムの補足です。確かにゲーム性云々のくだりは認めるがストーリーまでどうでもいいと言い張るのは行き過ぎではないか? という意見がありました。確かにその通りです。行き過ぎです。シナリオよけりゃあ感動するもんなあ。しかしギャルゲーの場合、シナリオの存在と云うのは諸刃の剣であるのです。それについて今日は言及します。
数あるギャルゲーの中でただ一つ別格として王者の地位に君臨するゲームがあります。ときめきメモリアル(以下ときメモ)がそうです。
なんでときメモだけなんすかね。雨後のタケノコのようにギャルゲーは乱発されているというのに。ときメモより絵が上手いギャルゲーは山ほどあるってのに。読ませるシナリオでプレイヤーをぐいぐい引っ張っていくものもあると云うのに。
なんでときメモだけ150万本も売れたのか? なんでときメモだけが驚異的なキャラクターグッズの売り上げを記録したのか? その違いはなんでしょう?
皆さんご存知の通り、ときメモにはストーリーと呼べるものが存在しません。ゲームには点として発生するイベントが存在するだけです。
固定されたストーリー、キャラというものは、プレーヤーから想像するという部分を取り上げてしまいます。キャラを各プレーヤー毎に特化させる事を許してくれません。コンピューターRPGでは確かに有効な手段かもしれません。しかしギャルゲーは萌えてナンボです。キャラに恋させてナンボです。ストーリーをプレーヤーに想像させる事これより有効に萌えさせる手段は他にはありません。
プレーヤーはストーリーを己で創る作業を要求されるのです。ないものは空想で補うわけです。しかし効果的に点で配置されたイベントが想像力を補ってくれます。これと合わせ、そして必要以上に詳細に設定されていない(しかしツボはおさえた)キャラクターが用意されたときメモはキャラ萌え発生装置として爆発的な効果を生みました。プレーヤー毎にキャラが特化されるからです。
固定されたストーリーがない事は一見不親切に思えるかも知れません。しかし矢継ぎ早に起こるイベントがそれを忘れさせてくれます。そしてストーリーに影響を及ぼさない、デート時のただパラメータが上下するだけの選択肢は仮の現実感をプレーヤーに与えてくれるのです。このアプローチはたまごっちと同じです。
これがどういう事かというと、あくまでプレーヤーが主人公という事です。ストーリーが語る場ではプレーヤーも登場人物の一人に過ぎません。スクウェアのRPGをプレイすればこの意味がよく分かると思います。だって俺様はああいう行動とらないよね?ストーリー型ギャルゲーもそう。俺あんな行動とらないよね?
今迄馬鹿にしてたけど借りてやってみたらハマった。こういう話をよく聞く事実がこれを証明しています。ゲームの手法自体が有効という事です。固定されたストーリー主導型では決してこうは行かなかった事でしょう。
つまりときメモは恋愛シミュレーションゲームとしての場をプレーヤーに提供したのです。純粋になりきって遊ぶ為の場をプレーヤーに提供したのです。プレイのキモはエンディングを見る事でも、ギャルのサービスショットを見る事でもありません。あくまで仮想の恋愛を楽しむ事。そのプレイ自体を楽しむ事にあるのです。これは説明書の後書きにも書いてある事です。
僕が前述のコラムでまず萌えろ!と言ったのはそういう意味です。仮想体験する事が目的であるならば、なりきらなくてはつまらないではないですか。シミュレーションゲームはなりきって遊ぶ為のものです。自分が主人公になってロールをプレイして初めてその面白さが分かるのではありませんか?
優れたシナリオのゲームを決して否定するものではありません。そういうアプローチもアリだとは思います。
しかしギャルゲーの場合、あまり効果的とはいえません。恋愛ってのはあくまで自分が主人公でないと楽しくないんですよ。シナリオの中の登場人物では駄目なんです。キャラに恋しなきゃつまらない類のゲームなんです。だからまず萌えるんです。
いくらシナリオが優れていてもそれだけではときメモを超える事が決して不可能であるという事がこれでご理解いただけたでしょうか? シナリオが優越したんでは駄目なんです。
諸刃の剣というのはそういう意味です。優れたシナリオは確かに素敵かもしれません。しかしそれではやはりゲームという手法をより効果的に使っているとは言い難いのです。折角ゲームという媒体を使っているのですからやっぱりマウスでシナリオなぞるだけじゃ駄目なんですよ。
ギャルゲーとはキャラ萌え発生装置であるのです。優れたキャラとそれに隷属、特化したシステムのみが求められるんです。それさえあれば十分。ストーリーなんかいらないんです。作者のオナニーなんかいらないんですよ。
それは各プレーヤーそれぞれが創るものなのですから。