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Prompt Columns
僕ってゲーム好きじゃないんですよって言うな
さて、最近のゲーム業界就職希望者……というか、ゲームクリエイター・ワナビーな皆さんの間で流行りつつあるのが、この僕ってゲーム好きじゃないんですよという言葉です。
以前カプコンの岡本氏が、飯野氏とのパネルディスカッション中にゲーム開発者なんて、ゲームあんまり好きじゃないんだよという意味のことをと言ったことを受けてのことだと思います。あと、ゲーム専門学校の面接対策なんかでもそう言わされる場合が多いようです。
ところで、本気でこう思ってる人間がここの読者にいるなら、今すぐこのページを閉じてブックマークからも削除して下さい。当サイトには二度と来て頂かなくて結構です。
さて、ゲームが好きなのに面接対策でゲームが好きじゃないと言わんとしてる方は、気をつけてください。
その台詞はある意味で正しいけど、あなたがたにはそのセリフを吐く資格はまだありません。
ゲーム開発のプロが吐くゲームが好きじゃないという発言は、本当にゲームが好きじゃないということを意味しているわけではありません。
これは、ゲームに関わりすぎたせいでゲームが好きだということを突き抜けてしまったが故に出てくる台詞なのです。
好きを突き抜けたがゆえに実感として出る台詞、それがゲーム好きじゃない発言なのです。この場合の嫌いとは、好きという感情をはるかに越えてしまったことを示しているわけです。
いまだにゲームが好きというレベルの発言をするなんて若くて浅い、というのがカプコンの岡本氏が飯野氏に感じた本音なのでしょう。だからその次に、だからオマエは二流なんだよという言葉に繋がったということです。たぶん。
この発言は、結婚と同じに考えれば分かるでしょう。飯野氏は、いまだに新婚ホヤホヤみたいな感じだから嫁さんが好きというのと同じレベルでゲームが好きだと言ってるわけですが、カプコン岡本さんにとってはもうゲームは古女房なわけです。
例えば結婚して20年ぐらい経ったおじさんがうちのババアはと言っても、近所の他人があのババアはと言ってるのを聞いたらおじさんは本気で怒るでしょう。そういうことです。これらの人はもう、ゲームと結婚してるような人達なわけです。
それゆえに、ゲームが好きじゃないというわけです。
なぜゲームクリエイター・ワナビーがこの言葉を吐くのが10年早いか、これでお分かりのことと思います。
あと、ゲーム開発者にとってゲームを知らないということは自慢にはなりません。僕ってゲームにあまり興味ないんですよと言うのは、僕って馬鹿なんですよと言うのと同じかそれよりマヌケなことです。でも、よくいるんだこういうバカが。
歴史を知らぬものに、未来は語れないという警句があることすら知らない教養の浅薄さを示してるだけであり、ようは一般常識はおろかゲームの知識すらおぼつかないというどうしようもなさを露呈させてるだけです。
ゲームのことしか知らなくて一般常識がないのは非常に問題です、でも一般常識どころかゲームのこともロクに分からないというのはそれ以前の問題です。
ゲーム好きなのは当然のこととして、それを相対化できる視点を持てということと、ゲームが好きだということを自分や他人に甘えるための免罪符に使うなという意味なのです。
でも、今は逆にゲームが好きじゃないということを自分や他人に甘えるための免罪符に使おうとする奴が増えすぎてるわけです。
だいたい、ゲーム好きだからってだけで雇ってくれという奴が多くなったからゲームが好きだということを全面に押し出し、それしか見えてこない奴を雇わないようになっただけなのに、今度は昔と同じようにボンクラの分際でゲームが好きですらない奴が来るようになったから事態は悪化しただけです。
企業が欲してるのはゲームが好きなうえで、なおかつ映画だったら誰にも負けないとか古今東西の文学作品をいくらでも引用できるとかいうことなわけです。
ゲーム開発に適性がある順にタイプを分類しておきましょう。
1 ゲームが好きで、ゲームを相対化して考えることが出来る。 …… 大歓迎。
2 ゲームが好きじゃないけど、ゲームを相対化して考えることが出来る。
…… 1人ぐらい必要かも。
3 ゲームが好きだけど、ゲームを相対化して考えることが出来ない。 …… 間に合ってます。
4 ゲームが好きじゃなくて、ゲームを相対化して考えることが出来ない。 …… 帰れ。
今までは3番目の理由で落ちる人間が多かったのですが。今は4番が主流になってきてます。こりゃ、悪化だろってことを言いたいわけです。
つーか、なんで俺がこんな当たり前のこと説明してんだ?
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